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近世物流と漆喰文化の伝播

8月8日に行われた、「民家の甲子園」全国大会。

全国から参加した高校生の皆さん、
そして応援し続けた各地のサポーターの皆さん、
まだ熱は冷めていませんよね?!

9月から第9回の準備。
熱の冷めぬうちに、各地で新テーマ「色」について準備が始まります。


さて、今回のテーマ「風」についての発表の中で胸を打ち抜かれたのが
奇しくも最優秀「民家大賞」を受賞した
北海道札幌平岸高等学校による「北海道に吹いた開拓の風」。
















「風」をこのような切り口で捉える高校生がいるとは…
その意識の高さに正直、オトナとして狼狽しました。

ワタシは北海道に限らず、
新たな文化の種となるのは「ヒトとモノの流れ」だと考えています。
それをよく捉えた発表だったと思います。


以前に、「物流が漆喰文化を決めた」との自説を書きましたね。
北海道札幌平岸高等学校の皆さんの発表風景を使いながら、
もういちどそのブログ(2010-3-12)から抜粋します。

これまで、漆喰に使う海藻を探しているうち、各地で簡単な質問を。
「炊きのりの海藻は何を使っていましたか?」と。

そうすると、なんとなく傾向が出ました。
  •  日本海沿いの東北から新潟、北陸にかけて銀杏草。
  •  太平洋側の東北は当然、三陸なので角叉。
  •  北関東は角叉。
  •  関東甲信はどっちかというと角叉。
  •  関西は銀杏草。京都は布海苔も。
  •  山口から山陰にかけては布海苔。
  •  九州は銀杏草。
いずれも、どちらかというと多い。というヒアリング結果を踏まえています。
原因は左官文化と昔の流通経路が影響していると考えます。

昆布ロードとも呼ばれた西回り航路。
もっとも古く栄えた海運ルートといわれていますね。
主な寄港地は
松前~酒田~新潟~三国~小浜~美保関~萩~下関~広島~尾道~鞆~大阪















各地の産物が大阪に集まり、天下の台所と呼ばれたわけで…。
だから、今でも大阪の出汁(だし)は昆布が基本。

後の江戸時代には東北からの東回り航路が確立しましたが
主に米を江戸に運ぶ目的でした。
出しの基本は鰹出汁。鰹武士(かつをぶし)なんて言葉もありますね。

じゃあ、江戸まで昆布が届かなかった?
そうではなく、水質の違いだったそうです。
以前テレビでやってました。
関東ローム層の影響で水の硬度が高く、美味しい昆布出汁がとれないそうなんです。

で、漆喰に戻りますが、
左官職人さんが手軽に入手できる海藻がなんであったか?ということが
大きく影響しているように思います。

なんとなく調べてみた結果が回船航路と一致するのですから。
西回り航路は銀杏草、東回り航路は三陸角叉。
瀬戸内産の布海苔はその周辺から京都まで。

しっくり来ますよね!?
さらに云うと、
昔からの海藻業者さんや、建材商社さんがどの地域に海藻を販売していたか?
ということにも影響するようですね。















だから、北海道札幌平岸高等学校の皆さんの発表を聞いたとき
正直、嬉しかったのです。
心から九州勢を応援していましたが…。

兎にも角にも、高校生に心動かされる「民家の甲子園」。
次回もみんなで応援しましょう!!