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守るべきモノ

数日前の報道によれば
中川正春文部科学相は25日、自然災害で被害を受けた文化財の修復費用について、「国が100%補助できる仕組みを作りたい」と述べ、現状では上限が85%の国の補助制度を見直す方針を明らかにした。
とのことです。それはそれで必要なことですね。

では修復に使う原材料はどうやって確保するつもりなのでしょうか?

我が国でかつて当たり前に手に入っていた素材。
それらを原材料に様々な創造が行われ、文化財となっています。

日本古来の素材が、今でも手に入ると思ったら大間違いなのです。

誰も求めなければ、その素材は用無し。
商いにならなければ、原材料の調達すら難しくなります。

たとえば「わら」。
昔のままの在来種の稲、無農薬、天日干しのワラを
手に入れるのはとても困難なことです。


実は「文化財を守るため」に「ふるさと文化財の森」というものを
文化庁が設定し、その推進をはかっているのですが…

ふるさと文化財の森 設定地一覧

材種名称所在地所有者等
1うるし浄法寺じょうぼうじ漆林岩手県二戸市二戸市
2アカマツ岩手大学滝沢たきざわ演習林岩手県岩手郡滝沢村岩手大学
3かや大内宿おおうちじゅく茅場福島県南会津郡下郷町大内区
4檜皮ひわだ羽賀寺はがじ境内林福井県小浜市羽賀寺
5檜皮明通寺みょうつうじ境内林福井県小浜市明通寺
6檜皮吉川よしかわ八幡宮はちまんぐう境内林岡山県加賀郡吉備中央町吉川八幡宮
7檜皮八幡はちまん神社境内林岡山県加賀郡吉備中央町八幡神社
8檜皮大和やまと神社境内林岡山県加賀郡吉備中央町大和神社
9サワラ東京大学秩父ちちぶ演習林埼玉県秩父市東京大学
10檜皮日竜峰寺にちりゅうぶじ境内林岐阜県関市日竜峰寺
11檜皮観心寺かんしんじ境内林大阪府河内長野市観心寺
12檜皮金剛寺こんごうじ境内林大阪府河内長野市金剛寺
13檜皮意賀美おがみ神社境内林大阪府泉佐野市意賀美神社
14檜皮京都大学徳山試験地山口県周南市京都大学
15い草八代やつしろ地域い草熊本県八代市,八代郡氷川町個人(240名)
16金沢湯涌ゆわく茅場石川県金沢市NPO法人石川県茅葺き文化研究会
17檜皮大瀧おおたき神社境内林福井県越前市宗教法人大瀧神社
18ヒノキ紀北町速水はやみ林業ヒノキ林(井出いだし地区)三重県北牟婁郡紀北町速水林業
19ヒノキ紀北町速水林業ヒノキ林(大田賀平尾おおたがひらお地区)三重県北牟婁郡紀北町速水林業
20ヒノキ吉田本家山林部ヒノキ林三重県多気郡大台町個人
21夜久野やくの丹波漆林京都府福知山市丹波漆生産組合
22岩湧山いわわきさん茅場大阪府河内長野市滝畑自治会
23上品山じょうぼんざん茅場宮城県石巻市石巻市
24苧殻おがら鹿沼野州かぬまやしゅう麻畑栃木県鹿沼市個人
25ヒノキ・スギ秦野市もろ林業ヒノキ・スギ林神奈川県秦野市諸戸林業株式会社
26檜皮雲峰寺うんぽうじ境内林山梨県甲州市宗教法人雲峰寺
27ヒノキ・スギ亀山市諸戸林業ヒノキ・スギ林三重県亀山市諸戸林業株式会社
28スギ智頭町有スギ林鳥取県八頭郡智頭町智頭町
29い草備後熊野びんごくまのい草圃広島県福山市個人
30七島しちとう国東くにさき地域七島しちとうい圃大分県国東市個人(9名)
31スギ・ヒバ岩手大学御明神おみょうじん演習林岩手県岩手郡雫石町岩手大学
32なかなた茅場福井県小浜市森の郷なかなた産物組合
33檜皮おおい町福谷ふくたに地区ヒノキ林福井県大飯郡おおい町個人
34クスノキ東京大学樹芸じゅげい研究所クスノキ林静岡県賀茂郡南伊豆町東京大学
35スギ・ヒノキ新城市昭典しょうてん木材スギ・ヒノキ林愛知県新城市昭典木材株式会社
36檜皮千石谷せんごくだにのスギ・ヒノキ林大阪府河内長野市河内長野市
37スギ・ヒノキ岡山県有スギ・ヒノキ林
御大典記念林ごたいてんきねんりん
岡山県津山市岡山県
38檜皮西上にしがみ山林組合ヒノキ林岡山県津山市西上山林組合

実際、これらの原材料生産に関わっている方の
どれだけが「存続」可能なのでしょうか?

生産者の生活基盤がしっかりと確保されなければ、
まったくもって「名ばかり」ですね。

木であれば林業振興のために、
国を挙げて国産材の流通を促すべきですし
い草にせよ、茅にせよ、
その利用を奨励すべきなのではないでしょうか?

年にいくつあるか分からない文化財のために、しかも限られた金額で。
日々山を守り、森を守り、田を、茅場を守る。
その生産に縛り付けられるのはかえって不幸だと感じます。