読書感想文1 枚目 / takamorry
ここのところ、落ち着いて本を読みたいと無性に思っています。
特に読み返したいのが中島敦の短編紀行「環礁 -ミクロネシヤ巡島記抄-」。6篇の短編です。
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その中に出てきたパラオの情景。それを著した「環礁」の文章の美しさ。
情景よりも文章に美しさを感じる、そんな小説。
読みたいですよね。本で読みたい。いっそのことパラオに行って読みたい。
目がさめた。ウーンと、睡り足りた後の快い伸びをすると、手足の下、背中の下で、砂が――真白な花珊瑚の屑がサラサラと軽く崩れる。汀から二間と隔たらない所、大きなタマナ樹の茂みの下、濃い茄子色の影の中で私は昼寝をしていたのである。頭上の枝葉はぎっしりと密生んでいて、葉洩日もほとんど落ちて来ない。
起上って沖を見た時、青鯖色の水を切って走る朱の三角帆の鮮やかさが、私の目をハッキリと醒めさせた。その帆掛独木舟は、今ちょうど外海から堡礁の裂目にさしかかったところだった。陽射しの工合から見れば、時刻は午を少し廻ったところであろう。
煙草を一服つけ、また、珊瑚屑の上に腰を下す。静かだ。頭上の葉のそよぎと、ピチャリピチャリと舐めるような渚の水音の外は、時たま堡礁の外の濤の音が微かに響くばかり。
――「真昼」より
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残念ですが写真で我慢しておきます。
The Palau Islands (14) / Soil Science