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モンブランから漆喰まで

今日のオハナシは、以前別のサイトに寄稿したお話。

漆喰が塗られた素敵なリビングで美味しいケーキを食べながらマロンではなく、太古のロマンを。
是非、未来へと繋げていきたいオハナシです。

「光合成 」ってちゃんと子供に説明できますか?

まずは小学校の理科のおさらいです。

「光合成」って何でしょう?

多くのオトナは「植物が二酸化炭素を酸素に変える」と答えます。

が、それだけでは正解ではありません。
植物は光の力で 二酸化炭素と水から 酸素と炭水化物を つくっています。
その作用のことを「光合成」と呼びます。

ブナ1本は1年間に11㎏のCO2を吸収します。(森林総研のデータより)


「炭水化物」というのはデンプンや糖などですね。植物の成長のエネルギー源になり、細胞を造ったり、種や実を造るわけです。

光合成を化学式にすると
12H2O+6CO2→C6H12O6+6O2+6H2O

H2Oは水。CO2は二酸化炭素。O2は酸素です。水と二酸化炭素を分解すると、炭素を自分の体に取り込み、酸素を吐くわけです。

同じ化学式でもう一度。
12H2O+6CO2→C6H12O6+6O2+6H2O

「植物は炭素を固定する」といわれている理由はこれなんです。

森や林の樹木が伐採され、木材として使われている限り、木に貯められた炭素が出てくることはありません。  

海でも光合成が行われている

海にも植物、つまり海藻が生えています。 実は海の中でも光合成が行われているのです。


漆喰の原料となる石灰石。
これらも太古の昔に、サンゴやプランクトンなどの死がいが堆積して出来上がったものです。


日本国内の鉱山から採れた石灰石。石灰石は数少ない国内自給の資源です。
そしてコレがサンゴの死がい。ヒトと同じく、骨が残ります。


さて、ここでもう一つ、多くのオトナのカンチガイ。サンゴは植物ではなく「動物」なんです。
ですから光合成はしません。

実は、サンゴには褐虫藻という海藻が共生しています。サンゴは自ら動物プランクトンを食べるほかに、その海藻が光合成をすることで作られた栄養を得ているんです。
だから石灰岩は「木」と同じく炭素を蓄積したカタマリであり、カルシウムのカタマリでもあるわけですね。

石灰も炭素の森

我が国の住まいのほとんどは木造住宅。約149万棟ともいわれる「木の住まい」に使われている全ての「木」には炭素が固定されています。ですから、建っている住宅を「炭素の森」と称することができますね。 石灰も同様なのです。山全体で多くの炭素が固定されているんです。


石灰岩は
 炭酸カルシウム =CaO3 です。

漆喰の原料となるのはそこから二酸化炭素が抜け、水と反応させた後の
 水酸化カルシウム =Ca(OH)2

それが長い年月をかけて二酸化炭素を取り入れることで
 元の炭酸カルシウム =CaO3

へと変化していきます。炭素を放出し炭素を吸収するという繰り返しが行われる不思議な物質でもあるんです。


漆喰は自然の中にこのサイクルを人為的につくることで出来上がります。 どうでしょう?自然と共生している気持になれませんか? それが伝統素材である漆喰の魅力の一つだと思います。  

モンブランからも漆喰を作れるか?

余談ですがモンブランからも漆喰。いえいえ、ケーキから漆喰はつくれませんね。


残念ながらケーキのことではなく、ヨーロッパ・アルプスのモンブラン。
Mont Blanc, 4810m
Mont Blanc, 4810m / girolame

アルプスでもヒマラヤでも石灰岩が採れるんです。その理由は日本と同じく、太古の海の底が隆起して出来た山だから。 太古の大陸と海。ヒマラヤもアルプスも、そして日本も、すべてテチス海(TETHYS SEA)であったと考えられています。 だから、みんな同じ時期の地層があり、そこから石灰が産出されます。まさに同じ海の底であったということですね。
 Laurasia-Gondwana
wikipedia

だから、アルプスを削った石灰から漆喰を作っても、同じような漆喰が作れるんです。 実際、我が国でもヨーロッパの漆喰が売られていますよね?!
石灰の加工方法や、石灰以外に混ぜられるモノによって、出来上がりは変わりますが、石灰は石灰。実際に、産地がドコだからといって優れているということはありません。

ワタシは…メーカーにこだわらず、添加物が少なく、作り手の顔が見える漆喰をできるだけ薦めるようにしています。食べ物と同じく、ドコのナニが添加されているか分からないようでは心配ですよね?! 「漆喰」を未来へ残すためには、正しい姿を理解し伝えなければなりません。