「マニラすさ」はいつ頃から使われてきたのか?

2014年8月29日金曜日

麻すさ

t f B! P L
昨日は自由研究のお話
齢を重ねても色々と調べ物が好きな私です。

と、いうわけで明治時代に書かれたとされる資料を読み解きます。

中高校生の頃に教わった古典の授業を思い出しながら読んでみてくださいね。
漆喰に不可欠な「すさ」について書かれています。
漆喰ノ維料

馬尼羅麻ヲ漆喰ニ用ユレバ他ノ維料ニ比較シテ利益ノ程如何ナラント云フコトニ就キテハ種々ノ試験モアリタルガ其最モ断定ニ適ヒタル試験ノ一法ハ馬尼羅麻シザル麻黄麻及ビ山羊毛ヲ入レタル四種同一ノ漆喰板ヲ製シ其隅々ヲ支ヘテ各其板ノ中部ヨリ荷量ヲ吊シタリ其結果ハ山羊毛入リノ分ハ百四十壹封度黄麻入リノ分ハ百四十五封度シサル入リ分ハ百五十封度馬尼羅入リノ分ハ百九十五封度ノ荷量ニテ破レタリ但馬尼羅入リノ分ハ中部ニ罅裂ノ出テタルノミニテ麻離断セス且又此板ヲ吊下ルニ其罅裂ノアルニ拘ハラス麻ハ能ク板ノ上部ト下部トヲ継ギテ離断ヲ支ヘ之ニ反シテ他ノ三種ハ太ク破壊サレタリ又他ノ一法ハ尖砂トトーマス石灰ト合セタル灰泥ヲ二樽製造シ一樽ニハ壹吋半乃至弐吋ノ長ニ切リタル馬尼羅麻ヲ交ヘ一樽ニハ最良ナル山羊毛ヲ入レ之ニ水ヲ通常ノ分量トシテ注ギ善ク練混ゼ樽ニ蓋シテ乾燥ナル窟ニ藏メ置クコト九ヶ月此時之ヲ出シテ見ルモ毛入リノ灰泥ハ破碎シテ羊毛殆ト其痕跡ヲ止メス蓋シ石灰ノ為ニ消化セラレシナリ然ルニ馬尼羅麻入リノ分ハ凝集力強クシテ容易ニ之ヲ引キ切ルコト能ハズ蓋シ此麻、灰泥中ニ於テ繊維ヲナスノ効ニシテ石灰ノ為ニハ毫モ傷害サレサルヲ證スルニ足ルナリ

譯者曰ク右ノ結果ニ由テ察スルニ我邦ニ於イテ奮來用ユル所ノ濱切苧苆ノ漆喰ニ於ケル効用ハ欧州ニ於テ普通トスル獣毛入リノ漆喰ニ優ルモ劣ルコトナキガ如シ其果シテ然ルヤ否ト又濱苆ト馬尼羅トノ強弱ノ程ヲ有志者ニ於テ試験アリタキコトニコソ 
読めたでしょうか?
現代では入手すら難しくなったマニラ麻。

明治期にそれを「すさ」として他の素材と比較試験しているんです。マニラ麻の強度はバッチリ。海外の漆喰で用いられていた羊の毛は弱いということや、従来の麻すさとの比較をさらに…と。

伝統素材。

「伝統」ですから、その素材について文献が記されているのは、当然、その当時のコトバです。なかなか見つけることが出来ませんし、見つけても意味不明なものが多いのですが、それでも参考になる資料が少なからずあるものです。


当時の文章からは当時の漆喰の姿が想像されますね。ただ、その素材自体が入手出来ないものも沢山あるんです。まだまだ探索と研究が必要でしょうね。

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