男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり。
それの年の十二月の二十日あまり一日の日の戌の時に、門出す。そのよし、いささかにものに書きつく。
ある人、県の四年五年果てて、例のことどもみなし終へて、解由など取りて、住む館より出でて、船に乗るべき所へ渡る。かれこれ、知る知らぬ、送りす。年ごろ、よくくらべつる人々なむ、別れ難く思ひて、日しきりにとかくしつつ、ののしるうちに、夜更けぬ。
二十二日に、和泉の国までと、平らかに願立つ。藤原のときざね、船路なれど、馬のはなむけす。上中下、酔ひ飽きて、いとあやしく、潮海のほとりにて、あざれ合へり。
憶えていますか? 中学校の国語の授業で習ったはずなんです。我が国初めての日記文学、紀貫之の「土佐日記」です。
土佐日記では、935年1月28日の今日、土佐を旅立ち、日記を書き始めたそうです。
だから今日は日記文学のハジマリの日でもあるわけですね。
さて、元祖日記文学に続き、更級日記や和泉式部日記など、私もしっかりと読んだことはありませんが、有名な作品が世に出ています。
現代でいえば、ブログも日記の一つですね。日々書き綴る方が世界中に何人居ることか…?市井にうずもれた大作家がいるのかもしれません。
ところが、ブログの人気ランキングを調べてみると…人気のあるブログは芸能人のものか、お金儲け、占いなどが多いようです。
しっかりと書かれた日記作品…見つけて読んでみたいものですね。