漆喰とペンキの違い

2010年4月4日日曜日

DIY たわごと 漆喰

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「漆喰と塗料(ペンキ)、何がどう違うのでしょう?」

漆喰をご検討中の方から、お問い合わせの多い内容です。

設計さん、工務店さんや左官さんにとっては
今更聞けない」質問です。


が、ちゃんと説明できる方、少ないですよね。

大丈夫。漆喰メーカー、塗料メーカーの人間でも説明できない方
多いですから。


さて、その違いを説明するために知らなければいけないのがその中身。
しっかり分かりやすく説明します。

塗料の配合は大きく4つ。
  • 樹脂   ;名前の通り、油です。乾いた後、膜になる成分。
  • 顔料   ;色を付けたり、厚みを付けるための粉。
  • 溶剤   ;上の2つを溶かすための液体。シンナーや水。
  • 添加剤  ;塗りやすくしたり、品質を安定させたりさせるためのもの。
これらが混ざり合ったものを塗ると、乾いた後には
色の粉が混ざった油の膜が残りますね。これが塗料です。

ちなみに「漆」は樹液を加工したものに、顔料を混ぜて造ります。
昔から伝わる天然樹脂塗料です。


さて、
漆喰の配合も大きく4つ。
  • 石灰    ;9割以上が石灰分です。
  • 麻すさ   ;石灰の収縮や外力からのひび割れ防止のつなぎ材。
  • 海藻のり  ;作業中の保水性や材料の粘性の調整。
  •       ;上の3つを混ぜるためのもの。石灰の硬化促進。
漆喰を塗ると水が蒸発した後、ほぼ石灰のカタマリになるわけです。
???ですね。

石灰は空気中の二酸化炭素を吸いながら、長い時間をかけて硬化するのです。
(詳しくは弊社WEBで。)

だから、塗って乾いた直後は、固まっていません。
塗って1年ほど経ってから、ヒビや隙間が出来たりするのも
これが原因です。


なんとなく分かりました?
塗料は樹脂(油)を塗るもの。漆喰は石灰を塗るもの。

だから、

塗料は塗って硬化した後が最も強く、
漆喰は時間が経てば経つほど強くなるのです。

塗料は油の膜ですから、水を通しませんが
漆喰は粉のカタマリですから水や空気を通しやすい。

塗料は樹脂の違いで性能が変わりますが
漆喰は石灰なので性能は昔から変わらない。


と、云うわけです。

でも、最近、漆喰風の塗料や樹脂入りの漆喰など
多種多様になっていますね。選択は皆様の自由です。



さて、さらなる豆知識。
アクリル塗料、シリコン塗料、ウレタン塗料・・・何が違いますか?
先ほどの説明を理解いただければ分かりますね。
正解は「樹脂」。
それぞれ正しくは「アクリル樹脂塗料」など、樹脂の名称をいうのです。
乾いて残る膜が、ナニ樹脂なのか?それで性能が変わるわけです。

さらに「ペンキ」。
正しく分類するとアルキド樹脂などを使用したものに限定される名称です。
だから、「シリコン樹脂のペンキ」という使い方は本来NG。
建築関係者は「塗料」という一般名称で呼びましょう。

また、漆喰の硬化メカニズム、
建築関係者ならお気づきですね?コンクリートでいう「中性化」と同様です。
コンクリートでは忌み嫌われる中性化によって
漆喰は硬化するのです。


塗料談義、得意ですよ(笑)



さて、最後に塗料と漆喰のコラボ作品を。
黒漆(塗料)と漆喰の美しさ、ステキですね。
松本城(長野県)














朱漆と赤瓦、屋根漆喰の美しい首里城(沖縄県)
写真素材 PIXTA
(c) リズ写真素材 PIXTA

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