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漆喰の上からペンキ塗っても大丈夫? その1

漆喰に関するお問い合わせの中でも答えに窮する質問です。

が、私たちの公式見解は

ダメです。



良いという方もいれば、ダメだという方もいるこの件、私たちがダメにこだわる理由をご説明します。

漆喰にはペンキは付着しないから?

 そんなことはありません。
 漆喰の吸水性能を考えれば、むしろくっつき易いハズです。
 仮に表面の石灰が炭酸ガスと反応していても
 漆喰の表面には微細な孔が無数にあります。
 種類にもよりますが一般的に塗料に含まれる樹脂程度のオーダーなら
 下地に喰い込み、良い結果をもたらすはずです。

 ただ、同様の理由で、下地側に樹脂や溶剤を取り込みやすいことから
 ドライアウトを起こしやすい傾向にあります。
 漆喰の塗り替え時にシーラーが多用されるのも同じ理由です。


じゃあ、シーラーを使えば塗れるの?

 「塗る」には塗れます。上塗りの塗料も造膜することでしょう。
 が、その後が怖いのです。
 
 まず一つ目はちょっと難しいです。
  漆喰の主成分である消石灰(水酸化カルシウム)は
  二酸化炭素を吸着して炭酸カルシウムに変化します。
  炭酸カルシウムは元の石灰石の状態。固く硬化するわけです。
  が、その反応には大変長い年月を要するといわれています。
   (これは再石灰化とは云いませんよ。念のため。)

  ということは、脆弱な部分が必ず残されていることになります。
  下地に弱い部分があるまま、上に膜を張るとどうなるか?
  下地をギュッと掴むように、表面には皮を張る力が働きますので、
  弱い部分が負けるとその部分が浮いてきます。
 
  表面が浮くとどうなるか?この後の説明は必要ありませんね。


 二つ目はわりかし簡単に理解できるかと。
  漆喰には呼吸や吸放湿の機能があります。
  構造にもよりますが、壁の内部で発生した湿気を放出できますし
  大気中の水分を取り込み、また吐き出しているわけです。
  
  そこに水をも通さない塗料の膜が出来たらどうなりますか?
  たとえ微量でも水蒸気の力はあなどれません。
   極端な例ですが
    1mlの水が1気圧、摂氏0度の環境で蒸発した時の体積は1.24リットル
    実に1240倍に膨れ上がるのです。

  水蒸気は内部から大変強い力で表面の膜を押し出します。
  塗膜は内圧に負け膨れ、剥がれ、見るも無残な姿に。

  水分に限らず、息をしているモノに蓋をしてはダメだということです。


だったら、すごく浸み込みやすいシーラーをたっぷり中まで吸い込ませて、
漆喰を全て固めてしまえば?

 理屈上はイケますね。ただ、大変なコストと労力がかかることでしょう。
 ならばそのコストで何度も左官さんがお仕事をできます。 


じゃあどうすれば?

 膜を張る力のすごく弱い、かつ、あまりしっかりとした膜を張らない塗料で
 表面にうっすら色を付けるだけなら。
 …それじゃ、塗る意味がありませんね。


 

「キレイにしたいが予算がない。」

 自治体をはじめ、漆喰塗りの大きな建造物の保存にあたる方々の
 大きな大きな悩みです。
 けれども、町のイベントなどの関係でどうしても美観回復を。という事で
 塗料を選ばざるを得ないのでしょう。

そのような実情をお聞きした時には、条件付きでお話ししています。

 「とりあえず5年。5年持てばよい程度のいい加減な施工にして下さい。」
 「数年でベロベロ剥げてくる位が最高です。」
 「そのかわり、5年後の改修予算を必ず計画に盛り込むことです。」 
 「ですから、今回の仕様検討には左官さんと塗装屋さん2者の意見が必要です。」

 5年後、ちゃんと漆喰として本格改修できる仕様と計画があれば、
 急場しのぎのペンキでも。

  結論
   シーラーも使わず、色だけをサーっと塗って。
   5年後にはタワシで簡単に落とせるのがベスト。
 そう言ってしまうのは罪でしょうか?

 念のため言っておきますが
 古民家やDIYではそんなコトしちゃダメですよ。



某名城と観光客のワタシ

漆喰 オン 塗料の悲しい結末