ああ奈良に、奈良に行きたい

2011年10月31日月曜日

伝統素材

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今年も奈良国立博物館で正倉院展が始まりました。
今回で第63回。おクニの宝を目の当たりにすることができる
数少ない機会です。

西新館の耐震補強工事も終わったんですね。
昨年春に訪問した際には、仮囲いが覆っていたんです。

また、公共工事で義務付けられた
VOC計測についての意見を求められたことも記憶に新しいです。





東西新館で行われる特別展。
そこに今回は蘭奢待(らんじゃたい)も展示されます。
ご存知ですか?蘭奢待。



パソコンで「らんじゃたい」と打ってみてください。
辞書設定がちゃんとしていればちゃんと変換してくれるんです。

日本の歴史に出てくるのがこの蘭奢待。
簡単に言えば我が国で最も有名な「香木(こうぼく)」です。


香木とは読んでそのまま、香になる木。
白檀(びゃくだん)や沈香(じんこう)などが代表的なモノですね。

蘭奢待ははるか昔から国の宝。
だから誰でも利用出来たものではありません。
足利義満、足利義教、足利義政、土岐頼武、織田信長、明治天皇など
歴史上の権力者が切り取ったことで知られていますね。

この蘭奢待、奈良の東大寺、正倉院に保管されている有名な香木です。
正式な名称は黄熟香(おうじゅくこう)。
それを雅名=「風流な呼び名」として蘭奢待と呼んでいるわけです。

しかし、何故「蘭奢待」と?

その種明かしは漢字をよ~く見てみましょう。
蘭奢待

蘭 →東
奢 →大
待 →寺

それぞれの文字にそれぞれ東大寺の文字が隠されています。
雅な名前ですね。


ちなみに「香木」がなぜ出来上がるのか?
実は樹木の生きるチカラによるものなのです。

ある種の木が傷ついたり虫に食われたりすると
そのカラダを守るために多量の樹脂を分泌します。
その部分が香木として使われているわけです。

「樹脂」はヤニとも呼ばれますね。
その木の樹脂の臭いがそのまま芳香となったもの、それが香木なのです。

夏休みの昆虫採集でクヌギの木に傷をつけると…

そこに樹液(樹脂)が分泌されて集まる集まる。
虫 昆虫 カブトムシ 3匹  - 写真素材
(c) kikiストックフォト PIXTA





カブトムシなどが好む匂いを発することで樹液を吸いに集まるわけです。

木のチカラ、私たちが思う以上に凄いモノなのです。


さて、話題は戻って蘭奢待。
今年の正倉院展は10月29日から11月14日の間。
一目ホンモノを目にしてみたいものですね。


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