中世物流と漆喰について 勝手に考察

2012年5月13日日曜日

よもやま

t f B! P L
明日から久しぶりに関東、そして北海道へ。
関東の味、北海道の味覚、それぞれ楽しみにしています。

さて、東西や地方によって食の文化が異なること、
テレビ番組などで良く知られるようになりましたね。

各地で食事して、口にする食事の中でも
明らかに異なり、それに不思議な違和感を覚えるモノ。

それが「出汁」(だし)です。

昆布・鰹節・鯵節・煮干し・あご・焼き干し・干し椎茸などなど。

味のベースとなるダシは、地域によって全くその傾向が異なります。
関西の昆布だし、瀬戸内のいりこだし、
サバ節のど~んと効いた蕎麦だし。
沖縄のお弁当には黄金色の鰹だしのスープが付いていたり…。

料理の味だけでなく香り、そしてその印象もガラッと変わるのがダシですね。



同様に、漆喰に使う海藻、その種類によって全く性状が異なってくるのです。

銀杏草でも角叉でも、
同じ種類であったとしても、産地や時期によって大きく違う。

調査で海藻を探しているうち、各地での利用状況も気になりました。
で、行く先々で簡単な質問を。
「炊きのりの海藻は何を使っていましたか?」と。

そうすると、なんとなく傾向が出てきます。
  • 日本海沿いの東北から新潟、北陸にかけて銀杏草。
  • 太平洋側の東北は当然、三陸なので角叉。
  • 北関東は角叉。
  • 関東甲信はどっちかというと角叉。
  • 関西は銀杏草。京都は布海苔も。
  • 山口から山陰にかけては布海苔。
  • 九州は銀杏草。
いずれも、どちらかというと多い。というヒアリング結果を踏まえています。
原因は?
左官文化と昔の流通経路が影響しているのではないでしょうか?
キーワードは北前船かもしれません。

 
北海道札幌平岸高等学校の発表の様子

昆布ロードとも呼ばれた西回り航路。
もっとも古く栄えた海運ルートといわれていますね。
主な寄港地は
松前~酒田~新潟~三国~小浜~美保関~萩~下関
~広島~尾道~鞆~大阪

各地の産物が大阪に集まり、天下の台所と呼ばれたわけで…。
だから、今でも大阪の出汁は昆布が基本。

後の江戸時代には東北からの東回り航路が確立しましたが
主に米を江戸に運ぶ目的でした。
出しの基本は鰹出汁。鰹武士なんて言葉もありますね。

じゃあ、江戸まで昆布が届かなかった?
そうではなく、水質の違いだったそうです。
以前テレビでやってました。
関東ローム層の影響で水の硬度が高く、
美味しい昆布出汁がとれないそうなんです。

で、漆喰に戻りますが、
左官職人さんが手軽に入手できる海藻がなんであったか?
ということが大きく影響しているように思います。

なんとなく調べてみた結果が回船航路と一致するのですから。
西回り航路は銀杏草、東回り航路は三陸角叉。
瀬戸内産の布海苔はその周辺から京都まで。

しっくり来ませんか?

さらに云うと、昔からの海藻業者さんや、
建材商社さんがどの地域に海藻を販売していたか?
ということにも影響するようですね。

QooQ