©伝統素材伝承支援協会 本漆喰への道 その5 150 150

本漆喰への道 その5

その1~その4 まで、素材について触れました。

今度はそれぞれの検証と調査です。
まずは石灰の焼き方と選別の仕方、そして仕上がりの状況です。

まずは燃焼状況ですが、こちらは江戸期のものといわれる
窯跡や文献の調査を行いました。

  • 窯から焼きだされた生石灰の中から良質なものを篩い分け建築用とするための道具が有ったこと。
  • 窯の形状が現在我々が使用しているものとほぼ変わらないこと。
  • 幸運にも(不運にも?)明治創業時の設備が江戸期とほぼ変わらなかったこと。
 なかなかの収穫です。

加えて古い漆喰壁の状況を調査しました。
不純物や麻すさの混入状況を知るためです。

全国各地の明治期~戦中の漆喰がそのまま残っている建物を
調査して廻りました。

写真は長野県の上田城。















真田氏と不落の城として有名ですね。
ここには戦中に塗られた漆喰がまだ残っていました。
そして、幸運(不運?)にも、キレイに土までえぐれた部分が。















理想的な傷つき方です。(スミマセン)
下地から上塗りまでの層が全て露出しています。

漆喰に入っているすさや、石灰に含まれる不純分の量まで
よく見て取れます。

ただ、明治期のものに比べると石灰はキレイですね。

調査結果や各地の状況を参考に、
目標とする石灰の焼き方や選別状態を決定しました。

現在の左官用消石灰の規格はほかにも条件はありますが、



       CaO+MgO  CO2
上塗り用   65%以上   15%以下
下塗り用   50%以上   20%以下

などです。
一般にはこれらよりもさらに高純度の石灰、
高純度の部分を取り去り、残った質の悪い部分だけの石灰、
または、炭カルで薄めて純度を下げた石灰が
「左官用」として売られていることがあります。

私たちは石灰の焼き方と選別方法の調整を繰り返し、
現代の規格に合うものから下回るものまでの製造を行いました。

で、出来上がったのが特製の石灰。
質の良い部分も悪い部分も入っています。
補助骨材としての炭カルを必要とせず、吸水と保水もバッチリです。
不純物を多く含むことから真っ白ではなく、ちょっとくすんだ目に優しい色。

ただ、窯の効率を下げることから、相当の無駄と労力が必要となります。


この研究で、通常製造している漆喰用の石灰の製造についても
大変良い効果が生まれました。