漆喰を学ぶ上で、必ず立ちはだかる壁。
それが海鼠壁(なまこかべ)です。
下半分の白黒部分が海鼠壁。
なまこの由来は、漆喰のカタチが海鼠のようだからということですが…。
蔵のデザインの代表的なものであり、
そのデザインも千差万別。
施工方法も地域によって異なることから、
「あまり触れたくない」テーマの一つです。
が、一番簡単なレベルでしたら…と挑戦します。
海鼠壁の目的は?といえば
本来は防水が目的だったといわれます。
漆喰は雨に弱い土壁の上から塗ることで、土壁が雨に流されるのを防ぎます。
が、漆喰そのものも水をたくさん吸う素材であるため、
直接雨が当たる場所には不向きなのです。
だから、雨がかかりやすい建物の下部は腰壁に板を張るなどして、
漆喰は塗らないことが多いのです。
ところが、防火について考えた場合、やはり土と漆喰を使いたい。
そこで使われた技法が海鼠壁であったと言われています。
漆喰だと水に弱いので、平面部分をできるだけ平瓦で覆う。
そして、目地を漆喰で分厚く覆うことで、
防水と表面保護、そして美観が生まれるというわけです。
簡単に言うと、現代のタイル貼り…というと云い過ぎでしょうか?
断面を見ると分かりやすいですよ。
土壁の上に漆喰で平瓦が貼り付けられ、さらに目地から漆喰で固められています。
これが一般的な海鼠壁。
これが各地で様々なバリエーションを生んでいるわけです。
熊本の肥後漆喰の海鼠壁はまさに質実剛健。
簡単に壊れそうなものではありませんね。