各地で被害が報じられている中、文化財被害として
- 香川 高松城の月見櫓
- 京都 二条城の東南隅櫓
それぞれ漆喰の剥落が発生したということです。
他にも様々な被害があったようですが、有名なこの二つについて。
漆喰の剥落…何故起きたのでしょうか?
これまで説明してきたとおり、漆喰は雨で流されることはありません。
ところが…中の土壁は水の影響を受けやすい素材なのです。
土壁の上に漆喰。
漆喰は水をたっぷり吸う素材ですから、当然内部に水が浸透します。
また、屋根が傷んで水が流れ込んだり、
下から水が毛細管現象で吸い上げられたり…
すると「溶ける土」と「溶けない漆喰」。
…そうです。隙間が出来てしまうのです。
土の上に見えるうっすら白いのは漆喰。
めくれたところに砂漆喰が見えますね?
ここまでメクレなくても、
雨や浸水の影響を受ければ少なからず劣化しているわけです。
そしてお城の櫓(やぐら)。
雨の掛かりやすい構造をしています。
…実はこれ、被害を受けた世界遺産・二条城の東南隅櫓なんです。
今年の3月に撮影したのですが、撮影した理由は…
分かりますかね?メクレてます。
この部分の漆喰が剥げ落ちたそうです。
…正直、時間の問題でしたね。
だからこそお手入れが必要な素材なのです。
何度も手を入れてやり直せる素材なのです。
メンテナンスフリーの天然素材などありません。
ちゃんと手をかけてこそ長持ちするのが伝統建築の良さですね。