漆喰のおさらい その4

2012年1月2日月曜日

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今日のおさらいは「のり」。
しかも、皆さんが気にしている「化学のり」について



「既調合漆喰」には海藻のり化学のりが使用されています。

元々漆喰は石灰海藻だけで作られていましたが

 麻は国内で栽培されなくなり、輸入原料や化学繊維が。
 海藻も収穫が減るとともに、樹脂が使われるようになりました。

多くの漆喰メーカーが使用している化学のりは
メチルセルロースというもの。
木材パルプから化学的に生成されています。
水溶性樹脂として、
左官用だけでなく食品用や医療用の製品も作られています。


さてここで、化学のりの実験。

方法は簡単。混ぜるだけ。
石灰と合わせ、高pHにした状態での性状を観察します。

ビーカーに入れて同比率で各社の化学のりを比較実験。
(製品名が分からぬよう伏せています)


実験準備はそれで終了。
で、混ざったものを一定時間温湿度が安定した環境において観察します。


う~ん。これは使えないかな。という製品。
ただ、わざと飽和量を超えた過剰量を混入していますので
少なからずゲル化するのですが…。

ナタデココみたいなものが化学のりが凝集して出来たゲルです。
で、これを光に透かすと…



よ~く分かりますね。
化学のりを入れ過ぎた漆喰は、
練り置き時にゲルを生じたり、塗った後に不具合が起きたりしやすい
と云われているのはこの為かと想像しています。

また、凝集が出来ると
水分を吸うとふくらみ、乾くと縮むということを繰り返します

不運にもひび割れの原因となる可能性があるということです。
元々、漆喰は雨のあたりにくい場所に塗る。ということになっていますが

化学のりを使用した製品は
 極力外部にはオススメしない方が良いのかも知れません。


だったら、全ての製品を海藻のりだけにしたら?
そうしたいのは山々ですが、それも難しいのです。
海藻のりは海から採った海藻を粉にしただけのものを使用しています。
昆布やワカメが産地によって味や歯応えが違うように、
海藻にもバラツキがあるのです。天然ものですからね。

そのため、海藻の性能を補う目的で化学のりを使用します。
 また、化学のりのお蔭で価格も抑えられています。


海藻のりだけの漆喰製品は売ってないの?
種類は少ないですが、いくつかのメーカーから販売されています。
炊き糊を配合していたり、混合したりする高級品や
粉を混ぜるタイプのオーソドックスな製品など。

私たちも粉製品や練り製品など、化学のりを使わないものを作っています。
でも、少なからず製造に失敗するのです。
必ず原料のブレンドが終わった後、ねり試験と塗り試験を行いますが、
ごくたまにアララ?ってことが。
だからお値段もちょっと高めですかね?


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